◆インターローカルな文化プロジェクト
お話に登場する子供たちには、アフリカ系や車椅子の子供たちもいて、「インクルージョン(誰も排除されない社会)」というテーマがさり気なく入れられています。そういうお話を、姉妹都市という国境を越えた地域同士が一緒に行うというのがいいですね。
オープニングではフランスの姉妹都市からは伝統ダンスのグループが参加。私にとって印象的だったのが、そのダンスは喧嘩をして仲直りする夫婦のストーリーを表現した作品。なかなかユーモラスでした。
最後は会場にいる人たちも混じって、手をつないで踊るという一幕もありましたが、お話に含まれたインクルージョンというテーマや国境を越えた地方都市の人々が一緒なるという象徴のようにも思えるものでした。
昨今、日本では「グローバル人材を育成せよ」ということがよく言われますが、欧州を見ていると、むしろネガティブな意味で捉えられているケースも目につきます。不必要な競争と緊張が高まる面があるからでしょう。
それに対して、私はお互い顔が見える国境を越えた地域の関係、これを「インターローカル」と呼んでいるのですが ─ ─こんな関係性が増えると、グローバリゼーションの健全性が高まるのではと考えています。
2万2000人余りのドイツの地方都市に、他の国の地方都市の人々が集まる。そして童話を軸に交流する。まさにインターローカルな文化プロジェクトでした。(了)
筆者のHP:インターローカルジャーナル
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