「昼間、あつかったから、ウメがあせをかいたんだな」
じいちゃんが、やってきてウメをひとつ、つまんだ。
「あせ?」
「だいじょうぶだ。夜はすずしいから、あせなんかすぐ引く」
「なんか、人間みたいだね」
「そうさあ。人もウメも、みんな、おひさまや風のおかげで、くらしてるんだぞ」
つぎの朝、できあがったウメボシを口に入れてみた。
「すっぱーい。しょっぱーい」
きゅーっと、口がとんがった。でも、ちょっとちがう。
「とっても、おいしくなった!」
お母さんが、うんうん、うなずいた。
「じいちゃんも、食べてみてよ」
やっぱり、しょっぱいって、おこるかな。ドキドキした。
じいちゃんは、ジロっとウメボシをにらんで、口にいれた。
「うん。こりゃあ、うまい。じょうできだぞ」
「ほんとう? しょっぱくない?」
「ウメボシがしょっぱいのは、当たり前だ」
じいちゃんのはなが、とくいげにフゴフゴうごいた。