「まさか、おまえ!」
若者は、ひどく、うろたえて、年かさの墓守を見つめました。
「そうだよ。そうしたからって、何が悪い。魔法の指輪じゃねえにしても、金の指輪みてえなお宝を、このまま、うめちまったら、もったいないじゃねえか!」
「だって、おまえ、それはどろぼうだよ」
「おれたちがやらなきゃ、あとで、だれかがやって来て、ほり返すに決まってる。それくらいなら、おれたちがやったっていいだろう? 問題は、根が生えたみてえに、じいさんの指にくっついている指輪を、どうやって、取るかってことだ」
そう言って、年かさの男は、上着のポケットから、おもむろに、ナイフを取り出しました。
若者は、ぎょうてんして、飛びのきました。
「おれはごめんだよ、そんなこと!」
「だったら、そこで目をつぶっていな。すぐに終わるから」