2億4000万分の一のキセキ!(11/11)

文・ニケ  

オーディションの会場に着いたのは3分前です。ギリギリセーフです。
「2人とも急いで!」
ミリンダが息を切らして走ってきました。
「オーマイゴッド!」
ミリンダがダイアンの足を見て悲鳴をあげました。

「テヘヘ、今日はソラの応えんです!」
「もう! ダイアンったら!! ソラ、ダイアンの分もがんばろう!」
ソラは力強く大きくうなづきました。
「ソラ!! こっち! 早く!!!」
ミズ・タナーが入り口でさけんでいます。

「ソラ、ゴー!! スマイル!」
ダイアンがソラの背中をおしました。
「ダイアン、キセキをおこしてくる!」
ソラは目をキラキラさせて答えました。
「さぁ、急いで!」
ミリンダはソラの手を取り、走り出しました。ミリンダのあたたかい手。初めてトルネードけいほうを聞いたときといっしょでした。
「エントリーナンバー24番。ソラ!」
アナウンサーの声と共に扉があきました。
真正面にしんさ員が、ずらりと並んでいます。客席では、リサ、ペイジ、マイクがボンボンをふって、大声で飛びはねています。他のクラスメートたちもいっしょです。マイクのとなりにチャールズもいます。パパとママとお兄ちゃんがかけこんできました。

ソラは目を閉じ、大きくゆっくりと深呼吸しました。しんぞうがドキドキしています。胸にそっと手をあて、ポンポンとたたきました。
「オッケー! ソラ、スマイル!」
ソラはこう自分に言いきかせると、スッと正面を見つめました。そのひとみはスポットライトに負けないくらい、キラキラかがやいていました。(完)

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。