「アイ・ショウ・ユーはちゃんと見せるよ、とかお見せしましょうって時に使うんだよ」
「へ~~~、じゃ、アイ・ショー・ユー」
ソラはシャツをめくり、おなかを見せました。パパとお兄ちゃんは笑いころげます。ソラはうれしくなってきました。
「ソラ、耳が慣れてきたんだね。これからもっといろんな言葉が聞こえるようになるぞ」
「ホント? そしたらペラペラになる?」
「ああ、大じょうぶだ。いいか。大切なのは聞くこと。何を言ってるのかなぁって、表情やしぐさを見ながら、耳をすましてごらん」
パパはソラとお兄ちゃんを、じっとみつめました。ソラは眼鏡の奥のパパの大きな目にすいこまれそうになりました。何か大切なことを言われているような気がしたのです。
「いっしょうけんめい聞けばいいの? 聞くだけで絶対にペラペラになる?」
パパはソラの両耳をそっとつまみました。
「そのために耳は2つあるんだぞ」
「目も2つあるじゃん」
お兄ちゃんはソラの目に指をつきさす仕草をしました。耳と目は2つなのに口はひとつだけ。ソラはお兄ちゃんとパパの顔を穴があくほど見つめました。
「わかった。明日もミスター・ブラウンのお話いっしょうけんめい聞いてくるね!」
ソラは明日が待ち遠しくなりました。