2億4000万分の一のキセキ!(6/11)

文・ニケ  

「グッドモーニン、ミズ・タナー!」
子どもたちが元気に答えました。ハデなシャツ、タンクトップなどいろいろな服装です。ソラは日本から持ってきた花がらのワンピースを着て、真ん中あたりの席に背すじをピンとのばしてすわっていました。

「グッドモーニン! ソラ!」
ミズ・タナーにとつぜん名前を呼ばれ、ソラはとっさに立ち上がりました。そのしゅん間、イスがパタンとたおれ、どっと笑いがおこりました。ソラの顔はみるみる真っ赤にそまっていきます。

ミズ・タナーはパンパンパンと手をたたくと、
「(みなさん、ソラは日本からきたのよ)」
とソラをしょうかいしました。
へ〜っという顔でソラをいっせいに見る子どもたち。ソラはどうしていいかわからず、モジモジしています。

「(日本はどこにあるか知ってますか? 日本のことで知ってることありますか?)」
ミズ・タナーが問いかけると、教室がいっしゅん静まりかえりました。ソラが目をキョロキョロさせていると、
「トーキョー!」
と、赤毛の女の子が自信たっぷりに答えました。

「ホンダ!」
「コリア!」
「ノー!(それはちがう国だよ!)」
「チャイニーズ!」
「スキヤキ!」
子どもたちはわれもわれもと声をあげ、大さわぎです。

ニケ について

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(学術博士)。読んだ人がちょっとだけハッピーになる言葉を奏でます。