「サムライ! ゲイシャ! フジヤマ! キエ〜〜!!」
きみょうな空手のポーズでおどけるのは、クラス1の悪ガキのマイクです。
ミズ・タナーは「オケーオケー」と言いながら、パンパンパンと手をたたきました。
「(日本のことソラにたくさん教えてもらいましょうね。みんな、仲良くするのよ)」
「イエス、ミズ・タナー!」
子どもたちはソラの方をニコニコみながら答えました。
「ハァーイ、アイム・ダイアン」
前の席の女の子が、人なつっこい笑顔でソラに話しかけました。
「・・・ハァーイ・・・アイム・ソラ」
ソラはほおがこわばって上手く笑えません。
ダイアンはニコニコするたびに、歯の上で銀色のワイヤーがキラリと光りました。お兄ちゃんがやりたがってる「ブリッジ」だとソラは思いました。「歯ならびが悪いとモテない」と、お兄ちゃんはうらめしそうに口元の八重歯をさわっていたのです。
「(日本のこと教えてね〜)」
ダイアンがいたずらっぽく言いました。
「イエス」
ソラはダイアンが何を言ってるのかわからなかったので、とりあえずイエスと答えました。