休み時間になるとソラの周りにたくさんの人だかりができました。まるで動物園のパンダです。「黒いかみ、黒い目の外国人」が、よほどめずらしかったのでしょう。
みんな次々と話しかけてくるのですが、ソラは何を言われているのか全くわかりません。しかたがないのでひたすらニコニコしました。目をお人形さんのようにまんまるにしたり、ウサギのように前歯でくちびるをかんだり。ときには両手でほほをおさえ、大げさにニコニコしてみました。
2、3日たつとダイアンの言葉だけは、なんとか聞き取れるようになりました。
「ダイアン。ジャパニーズ、ネーム?」
ダイアンは胸を手でおさえながら、ソラの目をのぞきこみました。
「ひょっとして日本語でダイアンはなんていうのか? って聞いてるのかも」と思ったソラ。勇気を出して聞いてみました。
「アン・・・ジャパニーズ・ネーム?」
「アハァン!」
ダイアンはうれしそうに何度もうなづきました。周りの子どもたちも、うなづいています。
すると、ソラの頭の中でテレビのように日本の友だちの顔が次から次へとうつし出されました。
「・・・はなちゃん!」
ソラは声をはずませて答えました。ダイアンのはじけるような笑顔は、大親友の花ちゃんそっくりでした。