「(じゃあ、ソラは?)アン・・・ソラ、ジャパニーズ?」
こう聞いてきたのは学級委員長のリカちゃんにそっくりな女の子、ジェニーです。
ソラは「リカちゃん」と言いそうになり、あわてて口をおさえました。ジェニーが聞いているのは、おそらくソラの日本語の名前です。みんな息をひそめて、ソラの答えを待っています。
ソラはこまってしまいました。だってソラはソラ。名前は名前。本当は英語も日本語もありません。ソラはものすごいスピードで頭をくるくるさせ・・・アッとひらめきました。
「ボク!」
ソラはドヤ顔で答えました。
「ヴォク?」
「ボォーク?」
「ブクッ?」
「ボォク! キュート! ソラ、ボォク!」
ジェニーがうれしそうにくりかえしました。
ソラはなんだかうれしくなりました。だって、日本では「女の子のくせに」と笑われたのに、ここでは「ボク」をだれも笑わないのです。
「ソラ・イズ・ボク! フジヤマ! キエ〜〜」
マイクのきみょうな空手のポーズにみんな大笑いです。ソラもケラケラと笑いました。