ぼくたちは夏の道で(4/12)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

4 ポスター

夜の道は、わからない。
どこが、どこへ続くのか。
はじめての道だから、あたりまえだけど。
猿神さんが、黒岩さんに入れさせたナビが、またまた、目的地周辺です、と告げた。
ナビを罵倒しだした猿神さんと、それをなだめる黒岩さん。
めちゃめちゃうるさいふたりのやり取りをBGMに、ぼくは、減速した車の窓から、のんびり外を、ながめてる。

もうすぐ到着だな、猿神さんちって、ここら辺だったっけ?
なんて、思った時だった。
だれか、いる。
なにしてるんだろう?

ぼんやりした街灯の下、その人は、電柱と向き合うようにたたずんでいる。
通りすがりにチラっと見かけただけなのに、なんだか、とても気にかかる。
背は高そうだけど、うすい影。
白い上着に、黒っぽいスカート。
そして、小さな背中。
心に、なにかが、ひっかかる。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。