「ビバ・ネバル! ビバ・ネバル!」
あちこちの木の上から大がっしょうがおこりはじめたのを、ぼくだけがとおくにいるかのようにぼんやりと聞いていた。
モックをさがしたけれど、そのすがたはどこにもなかった。
ミノムシとイモムシがかけよってきた。
「昼間はひどいこといってごめんね。あなたのねばりぐあいってば、さいこうだったわ」
「きみがいなかったら、ぼくたち今ごろだめだったよ。ほら、あの子ももうだいじょうだ」
チョウがきれいな羽をゆっくりとうごかし始めていた。
ぼくを見るとはずかしそうにもじもじとしてから、声にならない声で「ありがとう」といってくれた。