アイスクリーム・ゴリラ!(3/5)

文・ひなたのんき  

「あなたがうちのパパを、ゴリラにしたの?」
「なんですって。ゴリラ?  とぉんでもない」
「でも、あなた、わるいまじょでしょ?」
「はい。アリマ・ジョーです。いい名でしょ」
カピバラは、ねそべったまま、とくいそうに、はなをクイッとあげてみせました。

「なぁんだ、名まえなの?」
にあわないわねぇ、とは言いませんでした。
「じゃあ・・・わるいまじょは? いないの?」
「さあ。きいたことありませんねぇ」
こまりました。まじょはいないみたいです。

「ねえ、あたし、パパをにんげんにもどしたいの。ゴリラあじのアイスをたべて、ゴリラになったの。どうすればいいか、しってる?」
すると、カピバラは、
「ゴリラあじのアイス ゴリラになったにんげんあじのアイス にんげんになる」
うたうようにつぶやいて、ふああ、と大きなあくびをすると、そのままねてしまいました。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。