アイスクリーム・ゴリラ!(4/5)

文・ひなたのんき  

「はぁ・・・はぁ・・・こ、こわかった。カエルとかヘビとか、きらいよ。ヌルッとしてて」
ペタリとすわりこみ、いきをととのえます。

「でも、こまったわ。にんげんあじのアイスのこと、きけなかった。どこにあるのかしら」
「にんげんあじの、アイス? なんだそりゃ、うまそうだな。くってみたい」
すぐそばで、べろりん、と大きなしたなめずりがきこえました。
ライオンです。
レナは、ライオンのオリのまえに、きていたのです。

「おれ、にんげんは、くったことないんだ。いっつも目のまえを、ウロウロしてるのに、オリがあるせいで、手がだせん。どんなあじかなぁ。アイスでもいいから、くってみたい」
「それがねぇ。どこにあるのか、わからないの。あのね、パパが、ゴリラになっちゃったの。ゴリラあじのアイスを、たべたのよ」

「ゴリラあじ? そんなの、どこにあるんだ?」
「ゴリラのオリのそばよ。そこでうってるアイスが、ゴリラあじになっちゃったの」
「なぁんだ。じゃあ、はなしはかんたんだ」
ライオンは、大きなまえあしを、ポフンとうちならしました。

ひなたのんき について

東京都出身です。空と、水のある景色と、物語の世界が大好きです。 絵は描けないけど絵本が描きたいので、絵本の文章を編集さんに見てもらったりしています。 好きな絵本作家は、かがくいひろしさん、長谷川義史さん。 好きな童話は、寺村輝夫さんの「ぞうのたまごのたまごやき」、「こまったさんのオムレツ」。 好きな物語の出だしは、安房直子さん作「きつねの夕食会」の「新しいコーヒーセットを買ったので、きつねの女の子は、お客をよんでみたくてたまりませんでした」。 こんな風に人に衝撃を走らせる一文を、自分もかきたいと思います。