7 ぴりーこぱんに、会えるのは
すべてが、うごきだした。
時計はもうあそんでない。
数字は元のばしょに帰ったし、はりも走り回るのをやめて、一歩一歩時間をきざんでる。
外からは、人の話し声や、じどうしゃの走る音、鳥の声。いろんな音が、ながれこんでくる。
そして、バタバタと足音が近づいてきて、へやにお母さんがとびこんできた。
「あんこちゃん、学校行く時間だよ! よういして」「はーい」
あんこちゃんは、きのうのうちによういをしておいたランドセルをせおった。
あとはぼうしをかぶれば、したくはできあがり。
「お母さん、もう行けるよ」
自分がよんだくせに、まだお母さんは家の中でバタバタしてる。
まあ、いつものことだけど。かがみをみて、お母さんがぼやいた。
「やだもう~、口べに半分しかぬってない。こんなとちゅうでわすれるとか、わたし何やってんだろ」
「だってお母さん、おけしょうのとちゅうでねちゃってたもん」
あんこちゃんはクスクスわらいながら言った。お母さんは思わすふきだした。
「まさか~、そんなわけないでしょ。いくらなんでも」
「本当だよ。ぴりーこぱんが来てた時に、おふとんでねてた」
「ぴりーこぱん? 今日はまだだれも来てないよ。あんこちゃんこそ、ゆめでも見てたんじゃない?」
「おまたせ!じゃあ、行こうか」
ようやくお母さんのしたくができたので、あんこちゃんたちは小学校へしゅっぱつした。
引っこしてきたばかりでいっしょに学校へ行く友だちがまだいないので、お母さんがつきそってくれている。
歩きながら、あんこちゃんは歌った。
ぴりーこぱんにあえるのは しらないよ しらないよ
なんじにくるのか なんじになるのか わからない わからない
「おもしろい歌! 今日のあんこちゃんは、ごきげんかな?」
お母さんがわらった。
「この歌ね、ぴりーこぱんとあそんだときに歌ったんだよ」
「そっかあ、楽しそうなゆめを見たんだね」
もう、お母さんったら、しんじてないや。
だけどあんこちゃんには、お母さんがなんだかうれしそうに見えた。