春を泳ぐヒカリたち(6/11)

文・高橋友明  

あのあとは先生に、家に帰ってからはお父さんとお母さんに、こっぴどく叱られた。学校から家に連絡があったらしい。
でも、そんなのなんでもなかった。

先生にもお父さんにもお母さんにも、
「ごめんなさい、ぼくが悪い。もう二度としません」
これだけをくり返しいい、あとは黙っていた。

ぼくがもっとも気にしているのは、べにちゃんだ。
べにちゃんになんて話そう。べにちゃんは、ぼくのことひどく怒ると思う。・・・それだけならまだいい、このことを知ったら、べにちゃんは、ぼくのことを嫌いになるかもしれない。
そう思うと、とたんに顔が真っ青になる。

手紙を渡してくれと頼まれたのに、取っ組み合いをしてきてしまったのだ。
そしてべにちゃんはふられてしまった・・・。ネクタイははっきりと、べにちゃんには興味がないといったのだから。
いろいろ考えて、考えれば考えるほど、ぼくはべにちゃんに嫌われるに違いないと思った。
夜、ぼくはまくらに顔をうずめて、えんえん泣いた。

高橋友明 について

千葉県柏市在中。日本児童教育専門学校卒業。 朝昼晩に隠れているその時間ならではの雰囲気が好きです。やさしかったりたおやかであったり、ピリッとしていたりする。 同様に春夏秋冬や天気や空模様も好きです。 そうしたものを自分の作品を通して共感してもらえたら幸いです。