『コロキパラン 春を待つ公園で』
たかどのほうこ・作 網中いづる・絵
のら書店 2022年1月28日刊
◆オルゴールの音色が
2月のある日曜日。大学一年生のわたしはクラスメイトの森田さんと一緒にバレンタインのお仕事のアルバイトをすることに。
広い公園の真ん中でチョコレート屋さん『ムッシュ・チョコット』の店長さんのお店の手伝いをしています。
すると、コロキパラン・・・キロラポン・・・コロキパラン・・・キロラポン・・・、車輪つきの大きな木箱のハンドルをまわすひとりのおじさんが現れます。その音色はおとぎばなしにあるようなオルゴールの音色でした。
お店ではチョコレートに添えるカードに、チョコを渡す人の似顔絵を描いてあげるサービスもしています。
その仕事に抜擢されたのは、主人公のわたし。実は似顔絵を描いたことなんてなかったのですが、授業の合間に描いた先生の似顔絵を森田さんに見られていて、それがきっかけでこのアルバイトをすすめられたのです。
オルゴールの音色を聞きながら、一生懸命描いているとチョコレートを買う人だけでなく、段々と野次馬も増えてきました。目をキラキラさせながらペンが走る様子を見ています。(次ページに続く)