いすから去った王子(1/7)

文・伊藤由美   絵・伊藤耀

はじめに

「ニュー・シネマ・パラダイス」という映画を知っていますか?
舞台はイタリアの小さな町。
まだ、テレビも、インターネットもない時代の二階建ての小さな映画館。
人々の何よりの楽しみは、この映画館で白黒映画を見ることでした。

毎日、人々のために映画を映しているのは、一人の年老いた映写技師。
その町には元気な少年がいました。
映画が好きで好きでたまらない少年は、お金がないので、こっそり、映画館にもぐりこんは、老人にしかられます。
そのうちに、ふたりは、すっかり、なかよしになりました。

でも、ある日、映画館は火事になり、老人は目が見えなくなりました。
一方、初恋にやぶれた少年は、悲しみをいだいて、町を去って行く・・・。
いえいえ、ここで映画の解説を始めるつもりはありません。
何度か、その映画を見た私は、いつも、とても心にひっかかることがありました。
それは、映画の中で、老人が少年に語って聞かせる、こんなお話です。

伊藤由美 について

宮城県石巻市生まれ。福井県福井市在住。 『指輪物語』大好きのトールキアン。その上にトレッキー(「スター・トレック」ファン)でシャーロキアン(「シャーロック・ホームズ」ファン)と、世界3大オタクをカバーしている。

伊藤耀 について

(いとう ひかる)1992年福井県福井市生まれ。仁愛大学人間学部心理学科卒。いつもはウサギばかり描いているが、ときどき、母親の童話に挿絵を描いている。福井市在住。創作工房伽藍で勉強中。