ピイの飛んだ空(2/8)

文・七ツ樹七香  

ピイが秋斗(あきと)の家に来たのは7月の終わり方のことで、ちょうど夏休みに入った日のことだった。
「お前、文鳥育てたことあっただろう」
「そんな赤むけたヒナ、だんちがいの難易度(なんいど)に決まってるでしょう! それに、私(わたし)そういうことするの反対」
夕方、秋斗が友だちと遊んでから帰宅(きたく)すると、お母さんがうで組みをしてお父さんをはばんでいた。
めずらしく早く帰ってきた秋斗のお父さんは、手元にケーキの箱をかかえている。半分ふたが開けてあるのを不思議に思いながら、すばらしいおやつを期待してそっとのぞきこんだ秋斗は、気味の悪いものを見たかのように飛びのいた。

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県在住 会社員勤務を経てフリーライター・(アマチュア)作家 新紀元社WEBサイト パンタポルタで記事・コラムを執筆するかたわら、WEBで小説を発表。公募活動にも力を入れる。『ピイのとんだ空』で日本動物児童文学賞 優秀賞。熊本県民文芸賞では小説部門を二年連続受賞。本賞で2019年に第1席を獲得した『ラスト・オテモヤン』は熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は作品集収録とともに朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、西の正倉院 みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞 大賞など。 児童文学から一般文芸まではば広く手がけている。動物が大好き。犬と小鳥と暮らしている。著書を持つのが夢。