ピイの飛んだ空(2/8)

文・七ツ樹七香  

「秋斗(あきと)、やめなさいって――」
ヒナの箱をひざにだいたまま、手早く検索してひとときインターネットの情報とにらめっこした秋斗は、お母さんを見上げてきっぱりと言った。
「お母さん、スズメもう弱ってるかもしれない。おなかすいてるんだよ。こいつが死んじゃうの、オレいやだ! これ、すり餌! どこに行ったらいいの?」

〈スズメのひな エサ〉

キーワードを入れて調べれば、すぐにいくつものの情報が上がった。その中から見つけたのは産まれたばかりのスズメのヒナに与えていいとされるエサだった。
「秋斗!」
「もういい、お父さん連れてって!」
「いや、けど・・・、どうする?」
「明日死んじゃってもお母さんは知らないよ。勝手にしなさい!」
お母さんは、怒ったまま背中(せなか)を見せてリビングにもどっていった。

(本作品は「第30回日本動物児童文学賞」優秀賞受賞作を一部平易に改稿したものです)

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県在住 会社員勤務を経てフリーライター・(アマチュア)作家 新紀元社WEBサイト パンタポルタで記事・コラムを執筆するかたわら、WEBで小説を発表。公募活動にも力を入れる。『ピイのとんだ空』で日本動物児童文学賞 優秀賞。熊本県民文芸賞では小説部門を二年連続受賞。本賞で2019年に第1席を獲得した『ラスト・オテモヤン』は熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は作品集収録とともに朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、西の正倉院 みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞 大賞など。 児童文学から一般文芸まではば広く手がけている。動物が大好き。犬と小鳥と暮らしている。著書を持つのが夢。