ピイの飛んだ空(7/8)

文・七ツ樹七香  

ピイ、ピイ、ピイ――。

ピイは生き餌に大いに喜び、目の前に落としたハエトリグモを追いかけてつかまえることもできるようになってきた。時折はいっしゅん考えるような仕草も見せるので、あのカメムシ事件もピイの役に立ったのだろう。
一日一日、成長が目に見える。

秋斗(あきと)の絵日記はピイの成長の様子が毎日みっちりと書かれていた。
たよりなかった羽もすっかりりっぱになって、ふんわりとしたフォルムになったピイは愛らしい鳥のヒナそのものだった。ピイは文鳥のように、秋斗の手に乗ったりはしない。運動と食事の訓練のためにケージの外に出す時だけが、秋斗とピイがたがいのぬくもりを感じるしゅん間だった。
きずつけないようにそっとつかむと、ピイはおとなしくしていやがらない。

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県在住 会社員勤務を経てフリーライター・(アマチュア)作家 新紀元社WEBサイト パンタポルタで記事・コラムを執筆するかたわら、WEBで小説を発表。公募活動にも力を入れる。『ピイのとんだ空』で日本動物児童文学賞 優秀賞。熊本県民文芸賞では小説部門を二年連続受賞。本賞で2019年に第1席を獲得した『ラスト・オテモヤン』は熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は作品集収録とともに朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、西の正倉院 みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞 大賞など。 児童文学から一般文芸まではば広く手がけている。動物が大好き。犬と小鳥と暮らしている。著書を持つのが夢。