同窓会の開催日は、参加者が一番多い日に決まるそうで、当日には学級新聞を探してコピーして配るから、と幹事は言った。
その電話が律子のノスタルジーを目覚めさせた。
「学級新聞、私も実家を探せば・・・」
あるかもしれない、と思った。実家は律子が独身時代から変わらず。かつて律子の部屋だった二階の一部屋も、物置部屋になってはいるが、押入れの中は手つかずのはず。
「自分の作った新聞がうれしくて、ファイルしていたのよ。きっと押入れにあるわ」
新聞委員のメンバーも、思い出した。リーダーシップのある山田君、流行に敏感な小西さん、書道が得意な清水さん、「それに、赤いメガネが似合う男の子・・・あの子、なんて名前だったかしら?」
ニックネームは覚えている。トロ君。背も小さくて、運動が苦手で、トロトロしているのだけど、愛嬌のある子。優しくて、何か困ったことが起きた時は、いつもそばにいて励ましてくれたような・・・。
実家を探したら、記憶通り、昔のままのファイルが埃だらけで眠っていた。開くと、≪卒業記念号≫と、元気な書き文字が目に飛び込んできた。