おしょうさんとかっぱ(1/5)

文・雪乃 椿  

むかしむかしのお話です。
あるところに、小さな村がありました。
村で一番大きな山のてっぺんにお寺がたっていて、そこには年をとったおしょうさんが、一人でくらしています。
おしょうさんはかしこくもの知りだったので、こまったことがあると村人は大人も子供も、なんでもそうだんをするのでした。
どんなことでもいやな顔をせず、おしょうさんはいつもたすけてくれます。

また今日もしょうやさんが、お寺にやってきました。
「おしょうさまこの山のふもとをながれる川に、かっぱがあらわれて、みなをこまらせています」
「なんと、かっぱがあらわれたとな!」
「はい、畑の野さいをめちゃくちゃにしたり、すもうをとろうと子どもをおいかけたりするのです」

「ふむ、それはいかんなぁ。わしが、なんとかしてみよう」

雪乃 椿 について

(ゆきの つばき) 京都市に生まれ現在も在住。英知大学イスパニア語イスパニア文学科卒業後、京都大学医学部附属病院で医局秘書として勤務。物の怪、陰陽師、仏像が大好きで、いつか平安時代の大スペクタクル児童文学を書いてみたいと思っています。