12 流星群
月が去った紺色の空に、星々が輝いている。
あれは、あの星座は、これは、この星座は、なんだったっけ?
思い出せないけれど、ながめていると、いろんな想いが、あふれてきそうだ。
しみじみとした、いい夜だ。
けど、さみしい夜だ。
そして、
「ここは、どこだ?」
なんて、考えても、はじまらない。
昼でさえ方向感覚危ういあたし、まして、いわんや、夜である。
だいたい、「ごゆっくり」なんて、恰好つけるから、こういうことになる。
「そうだ、戻ろう」
あの神社へ、あの盆踊りの会場へ戻り、策作じいさんとしのさんを待ち、一緒に帰ることにしよう。
そう思いつき、耳を澄ます。
だが、なにも、聞こえない。
いやいやいやいや、聞こえるぞ。
でも、あのメロディーじゃない。
気の早い、秋の虫かな、あれは。