ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(12/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

12 流星群

月が去った紺色の空に、星々が輝いている。
あれは、あの星座は、これは、この星座は、なんだったっけ?
思い出せないけれど、ながめていると、いろんな想いが、あふれてきそうだ。
しみじみとした、いい夜だ。
けど、さみしい夜だ。
そして、
「ここは、どこだ?」
なんて、考えても、はじまらない。
昼でさえ方向感覚危ういあたし、まして、いわんや、夜である。
だいたい、「ごゆっくり」なんて、恰好つけるから、こういうことになる。

「そうだ、戻ろう」
あの神社へ、あの盆踊りの会場へ戻り、策作じいさんとしのさんを待ち、一緒に帰ることにしよう。
そう思いつき、耳を澄ます。
だが、なにも、聞こえない。
いやいやいやいや、聞こえるぞ。
でも、あのメロディーじゃない。
気の早い、秋の虫かな、あれは。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。