ぜんぜん不思議じゃなかった3日間(12/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

「海に行こう」
障害物がないからよく見えるんだと、賢作さんが歩き出す。
この道は、たぶん、昨日、一目見ただけの賢作さんに心奪われながら、策作じいさんとたどった道だ。
そして、明日、賢作さんを送るためにたどる道。

先を行く賢作さんの背中を見ながら、歩く。
こんな時に白状するのもなんだけど、いやいやいやいや、こんな時だからこそ、白状じゃなくて、告白すべきじゃないか?

「あのう」心を決めたあたしの声に、
「あっ!」重なる賢作さんの声。
「飛んだ!」
急ごうと、賢作さんは、あたしの手を取り走り出す。
ああ、もう、なんも言えない、幸せすぎる!
告白なんて、後回しだ!!!

寄せては返す波の音に包まれて、
あたしたちは一緒に、流れる星たちを見た。

青い夜に力強い軌跡を描き、縦横無尽に星が走る。
「す、すごい」
ペルセウス流星群だと、賢作さんは教えてくれた。
「あのあたりが放射点で・・・」
と、空を指さし教えてくれたが、あたしは、賢作さんの顔しか見ていなかったから、あのあたりが、どのあたりかは、わからなかった。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。