波打ち際から離れ、乾いた所に腰を下ろすと、「ふーっ」ため息が口をつく。
ディパックから、飲みかけのペットボトルを取り出して水分補給。
旅に出るとき時、ばあちゃんが持たせてくれたレモン味の塩アメも、強い味方だ。
「疲れた」
ヒスイ探しは、木陰ひとつない炎天下での作業だ。
頭上からは太陽が肌を焼き、足元からは荒波が襲い来る。
過酷と言っても過言ではない。
いやいやいやいや、過酷という言葉しか見つからない。
それにしても、もう、遠く先を行っている策作じいさんは、なんて元気なんだろう。
太陽も荒波もものともせずに、我が道を突き進む!
さあ、あたしも負けてはいられない。
集めた石の中から、
「これは、きつね石いうんや。きれいな緑色やから、一瞬、ヒスイに見える。きつねと一緒や。人を化かす」
策作じいさんに捨てろと判断下されたおきつねさまと、最初に見つけた石英の2個だけ残し、あとは浜に返して、立ち上がる。