ふしぎなぴりーこぱん(7/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

「あんこちゃん、何かいてるの?」
休み時間、いつものように一人で絵をかいていると、となりのせきのまめたくんが言った。
まめたくんは、いつもあんこちゃんに声をかけてくれるけど、いつもははずかしくて答えられないでいた。
でも、今日はお話できそうな気がする。
あんこちゃんはゆうきを出して答えた。

「ぴりーこぱんだよ」
「ぴりーこぱんって何?」
「わたしのお友だち。ハンバーガーだけど、何にでもへんしんするんだよ。犬とか、ピーナッツとか」
まめたくんはわらった。

「へー、あんこちゃんの絵、おもしろいね!また見せてよ」
「・・・いいよ」
あんこちゃんはもじもじしながら答えた。
「まめたくん、ボールであそぼう!」
けんじくんがまめたくんをよびに来た。

「ねえ、あんこちゃんもいっしょにボールあそびしようよ」
まめたくんは、あんこちゃんをさそってくれた。
「いいよ! じゃあさ、ボールがはねると、ホットケーキが出てくるっていうのはどう?」
「何それ!おもしろそうじゃん!」
けんじくんが目をかがやかせた。

ボールをなげながら、あんこちゃんは歌った。

ぴりーこぱんがやってきた とつぜんに とつぜんに
とけいはあそぶし あさだかよるだか わからない わからない

二人はその歌をおもしろがって、いっしょに歌ってくれた。

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。