山野辺さんの横にはパピが、そして、ぼくの横にはチャッピーが。
「あのな・・・、」
「はい」
「信じないかもしれないけれど、」
「ぼくが、山野辺さんのこと、信じないはずがありません!」
「ありがとう。あのな・・・、パピは、いま、向こうの世界に行こうとしてる。このパピは、魂なんだ」
「・・・この子はユーレイ?」
ぼくは、立ち上がり、そっとパピに触れてみる。
でも、手のひらに、なにも感触は残らない。
「パピ、きみはほんとうに、ユーレイなんだね」
「驚かない、のか?」
そう問われ、事情を、話す。
「じつは、ぼく・・・」
そう、ぼくは、こんなことは、初めてじゃない。いままでも、出会ったことが、あるんだ。ユーレイたちに。
いつも、会う、というわけじゃない。
どういう加減か、わからないけど、出会う時は、いつも、そばに猫がいた。
猫を介した時にだけ、そういう体験ができるようなんだ。
だから、いまは、チャッピーが、ぼくとパピをつないでくれているのだと思う。そんなことを、山野辺さんに、話した。
「そうだったのか。だから、わた、いや、パピの姿も見えるんだ」
「はい。んっ?」
ってことは・・・?
「山野辺さんも、ユーレイが見える、んですよね?」
「そう、だな。・・・そういうことになる・・・」
「わーっ! 同類だ! 山野辺さん! ぼく、ユーレイを見る側の立場の人に会ったのは、初めてです!」
「そ、そうか・・・」
「あの、昨日、ぼくと出会った時は、もう、わかっていたのですか? パピはもう、この世にいないかもしれないって」
「うん。感じていた・・・。はっきりそうだと、言い切れはしないけど、わかっていた・・・ような・・・気がする」
「なら、なぜ、ポスターを?」
「貼ったのは、母なんだ」
「そうですか。おかあさんは、パピのこと・・・」
「まだ、知らない・・・。でも、知らせるにしても、パピを、パピのナキガラの居場所を捜してからじゃないと。連れて帰ってやらなきゃ・・・」