あっ!
何かに、つまずいた。体がうき上がったみたいになって、ぼくは、地面にたおれこんだ。
あごが熱い。それに、手のひらとか、ひざとかも、熱くて痛くなってきた。
「へっ! ばーか、ころんでやんの!」
テツヤが、ゼーゼー言いながら、ぼくの前にまわりこんだ。
ぼくを、広場の方へ行かせないつもりだ。
ぼくは、泣きそうだったけど、ガマンして立ち上がった。
両方の手のひらと、ひざをすりむいて、血が出ている。
「うわっ!おまえ、かお、ちだらけじゃねぇか!」
テツヤがぼくの顔を指さしてわめいた。
顔が血だらけ? 自分じゃ見えないけど、あごが熱くて痛いから、あごもすりむいたのかもしれない。
「お、おれ、しらねーぞ! おまえがかってに、ころんだんだからな!」
そう言うと、テツヤは、わぁっと走って行った。
・・・にげた・・・。
ぼくよりずっと大きい、3年生のテツヤが、ぼくのケガにおどろいてにげ出した。
ぼくたちは、勝ったのだ。