しかし、ソラはあきらめない犬だった。
毎日くるみにしっぽをふるし、くるみが学校に行くときにはお見送りとおむかえを欠かさない。
「律儀(りちぎ)な犬ねえ」
「お母さん、リチギってなに?」
聞きなれない言葉にくるみが首をかしげると、お母さんが説明した。
「まっすぐマジメっていう意味よ。毎日、くるみの送りむかえに熱心でしょ」
「ふうん。わたしは好きじゃないのにね」
くるみは絵をかきながら、足元でねむっているソラのもんくを言う。そんなくるみにふくざつそうな顔でお母さんがたずねた。
「ねえ、くるみ。今度の日曜日でソラがきて2週間なんだけど。ソラのこと、やっぱり好きじゃない?」
「好きじゃないよ。わかるでしょう?」
「その絵、上手ね。ソラをかいてるのかなと思って」
くるみはいつもスケッチブックといっしょだ。絵はとくいで、今まで何度もコンクールで賞を取っている。
「・・・生き物をスケッチするのは大切って、前に絵の先生が言ってた。ちょうどいいからかいてただけ」