ところが、そのこわい人はおおきな目をギロリとうごかしただけです。
その人がみていたのは、トムでした。
トムがその人にちかよりました。
すると、ふしぎなことに、トムのせなかにむすびつけてある小さなリュックサックがひとりでにひらいて、なかみがシュルシュルシュルッと、とびだしたのです。
それはてがみとお金のようでした。
その人が、フムフムとてがみをよみはじめると、つるぎがふでに、まるい玉がしかくい紙にかわりました。
じろうが、目をまんまるくしてみていると、サラサラとなにかをかいて、トムにむかっていいました。
「りょうかいした」
紙は、ちゅうをクルクルまって、ひとりでにリュックの中にはいりました。
リュックのふたがパタンとしまると、トムがしっぽをたてて、ほえました。
「わん」
そして、もうスピードで、はしっていってしまったのです。
「トム! ああ、いっちゃった」