「ああ、忘れていました。ちょっと、待ってください」
博士は、ハツさんのうでのアンチ・明かりセンサー・デバイスを、チョイチョイッと、調節しました。実は、あらかじめ、デバイスに、別の発明をしこんでおいたのです。
その名も、アンチ・グラビティ・デバイス! なんと、重力に逆らうそうちです!
「さて、うまくいくかな? スイッチ、オン!」
とたんに、ハツさんの体は、ふわりっと、宙に浮きました。
「わあ、すてき!」
ハツさんは、ふわふわと、空に昇って行きました。
「ふふふ。成功、成功」
幸せそうなお母さんを見て、コスモ博士はほくそえみました。
「母さーん、風に気を付けてくださいよー!」
「いやあ、こりゃあ、ぶったまげ!」
博士の新しい発明を見ようと、五所河原家をたずねていた多田君は、キャップをぬいで、ハツさんを見上げました。
「すばらしいっすよ、先生。これこそ、ノーベル賞級の発明す!」
「そう思うかね。では、これを『アンチ・明かりセンサー&アンチ・グラビティ・デバイス』として、世に発表しよう」
「長すぎっすよ! そうすねえ・・・」
多田君は頭をひねります。
「ステルス&アンチ・グラビティ・デバイス・・・。もひとつ、縮めて、スタングラ・デバイスでは?」
「おお、スタングラ・デバイスか!」
「はい、通称、スタングラ!」
「それはいいね! 多田君は名前を付ける名人だ!」
「あっざーす!」
少年野球から始まって、今も市民チームでプレイしている多田君は、うれしそうに、いがぐり頭を下げました。