7 3Dホログラムの旅
「行ってみましょう、その公園へ」
ミエンダー氏が、さらりと、言いました。
「え?」
「本当につまらない所かどうか、確かめに行くんですよ。さあ、私を、スタングラで、そこまで、運んでください」
二人が川辺の林に行ってみると、そこは、ずっと前に、公園のさくが取り払われ、ジャリや、鉄骨などの、資材置き場になっていました。
大きくなり過ぎた木は、切りたおされて、切り株だけになっているものもあります。
雑草の中に、ボロボロのパンダの頭を見つけた時、ハツさんはため息をつきました。
「昔の方が、まだ、ましだったわ」
「じゃあ、ハツさんの知っている昔の様子を見てみましょう」
「え?」
ミエンダー氏はうでのデバイスのねじを、くるくる、回しました。すると、周りが、ビデオのように、巻きもどり、ハツさんの子供のころの公園になったではありませんか!
「言い忘れましたが、私は時間旅行もできるんです」
林はすずやかになり、パンダの人形のそばに、ウサギや、ゾウも、ニョキニョキ、現れました。ブランコや、鉄ぼうもあります。
確かに、みな、しょぼくれてはいます。でも、
「ああ、なんてなつかしいの!」
と、ハツさんは、目を細めました。そして、手をのばして、それらにさわろうとしましたが、その手は、するっと、通りぬけてしまいました。
「実物ではないんですよ」
と、ミエンダー氏。
「あなたをじっさいの時間旅行にお連れすることはできないので、私が旅した時の記録を、3Dホログラムでお見せしているんです」
「3Dホログラム? 立体映像ってことね。ありがとう。私、ここにもどって来られて、うれしいわ」
「そうですか。気に入ってくださったのなら、ついでに、もう少し、お見せしましょうかね」
クルクル、クルクルクル・・・。