周りは夜になり、昼になり、また、夜になりました。それは、どんどん、早くなり、それにつれて、見える景色も丘になり、高い山になり、そうかと思うと、海に沈んだり、氷に閉ざされたりしました。
ミエンダー氏がデバイスのねじを止めた時、ハツさんは、シダの大木に囲まれていました。
「えええっ!? ここは!?」
「6600万年ほど前の地球ですよ」
「じゃ、ひょっとして!」
「そう、恐竜王国です」
なるほど、ギラギラ、かがやく太陽の下を飛んでいるのは翼竜(よくりゅう)たち!
水辺で、のんびり、草を食べているのはイグアノドンや、ブラキオサウルス!
「ほら、ラプトルたちが飛び出してきた! 狩りを始めるんだわ!」
ホログラムだと分かっていても、すごい迫力! ハツさんは、すっかり、夢中になってしまいました。
その時、遠くの空に、何か、まぶしい光が現れて、まっすぐ、地平に落ちて行きました。ほどなく、恐竜たちが、ブォー!ブォー! っと、さわがしい声を上げ、そわそわ、し始めました。
「どうしたの?」
「地球の裏側に、とてつもなく大きないん石が落ちたんですよ。始まりますよ」
「え、何が?」
ゴゴゴー! っと、ぶきみな音。地面が、グラグラ、ゆれ始めます。最初は、小さく、やがては、立っていられないほどに。
それはだれも想像できないような、巨大な地震でした。
地震は地面を割り、シダの大木をなぎたおし、湖の水を大波のようにゆらしながら続きました。
いつまでも、いつまでも、気の遠くなるほどの長い時間。
その間に、恐竜たちは、どこかへかくれてしまい、やっと、ゆれが収まった後には、気持ちの悪い静けさだけが残りました。