「秋斗(あきと)、やめなさいって――」
ヒナの箱をひざにだいたまま、手早く検索してひとときインターネットの情報とにらめっこした秋斗は、お母さんを見上げてきっぱりと言った。
「お母さん、スズメもう弱ってるかもしれない。おなかすいてるんだよ。こいつが死んじゃうの、オレいやだ! これ、すり餌! どこに行ったらいいの?」
〈スズメのひな エサ〉
キーワードを入れて調べれば、すぐにいくつものの情報が上がった。その中から見つけたのは産まれたばかりのスズメのヒナに与えていいとされるエサだった。
「秋斗!」
「もういい、お父さん連れてって!」
「いや、けど・・・、どうする?」
「明日死んじゃってもお母さんは知らないよ。勝手にしなさい!」
お母さんは、怒ったまま背中(せなか)を見せてリビングにもどっていった。
(本作品は「第30回日本動物児童文学賞」優秀賞受賞作を一部平易に改稿したものです)