ピイ、ピイ、ピイ――。
ピイは生き餌に大いに喜び、目の前に落としたハエトリグモを追いかけてつかまえることもできるようになってきた。時折はいっしゅん考えるような仕草も見せるので、あのカメムシ事件もピイの役に立ったのだろう。
一日一日、成長が目に見える。
秋斗(あきと)の絵日記はピイの成長の様子が毎日みっちりと書かれていた。
たよりなかった羽もすっかりりっぱになって、ふんわりとしたフォルムになったピイは愛らしい鳥のヒナそのものだった。ピイは文鳥のように、秋斗の手に乗ったりはしない。運動と食事の訓練のためにケージの外に出す時だけが、秋斗とピイがたがいのぬくもりを感じるしゅん間だった。
きずつけないようにそっとつかむと、ピイはおとなしくしていやがらない。