それから、3しゅう間がたった。
日ざしは、ギラギラして夏の本番だ。
野きゅうのれんしゅうから帰ってきたら、にわに大きなザルがおいてあった。
その上に、まっ赤になったウメがのっかっていた。
お母さんがあとで入れた赤ジソもある。
はたけのすみに、すてるじゅんびをしているみたいだった。
「あら、フウ、おかえりなさい」
「ウメ、しっぱいしちゃったの? すてちゃうの?」
「だいじょうぶよ。はじめてなのに、うまくいってるわ」
お母さんが、ポイっとウメを口に入れて食べた。
ドキドキした。でもすぐ、ぼくも口にポイっと入れてみた。
「すっぱーい。しょっぱーい」
きゅーっと、口がとんがった。ちゃんとウメボシのあじだ。
「このまま3日間、おひさまと夜の風に当てるのよ」
ウメはだんだん、シワシワになっていった。
さいごの夜、ぼくは、にわに出てみた。
さあっと、風がTシャツをとおりぬけた。すずしい。
細くて長いケムリが、風にのっかって、ながれている。げんかんの、かとりせんこうだ。
ぼくは、そっと、ザルをのぞいてみた。
「たいへんだ! ウメが、ぬれてるよ!」
細かい水のつぶつぶが、シワシワのウメにくっついていた。