「ただし、願いごとは3つまでだ。いいね」
ちっとも、よくありません。
「では、お前さんのお葬式まで、しばらく、さようなら」
魔女は、ばかていねいに頭を下げました。それから、
「チャンスは3回なんだから、願いごとは、よくよく、考えてするんだよ」
と、にんまりしました。
そして、石のように固まっているセムを残して、あっという間に、現れた時とは反対側の地平に消えました。
セムは、ほっと、息をつきました。
「やっかいなことになったぞ。どうしよう・・・」
指輪をはずそうと、回したり、ひっぱったりしてみましたが、どうしても、ぬけません。
考えに考え、セムは、ぽんと、手をたたきました。
「つまんない願いごとを、さっさと、3つ、してしまえばいいんだ。そうすりゃ、地獄でのつとめも、うんと短くてすむってもんだ。よし、ええと・・・」
セムは、さっそく、指輪に向かって言いました。
「うまそうなソーセージを出して、それを、おれの鼻の頭にくっつけて、その後、鼻の頭からはずしてくれ!」
セムは、じっと、待ちました。しばらく、そうやって、待っていましたが、けっきょく、何も起こりませんでした。
「ちぇ、本気じゃないとだめってことか」
セムは、指輪をうらめしげにながめました。