2 スタングラ誕生!
ところが、ハツさんは、まもなく、それでは物足りなくなりました。
「コスモさん、せっかく、天狗(てんぐ)のかくれみのを作ってくれたんだから、ついでに、天狗のつばさも作ってくれたらどう?」
「飛ぶなんてむりですよ、母さん。つばさを作ったって、人間には、それを動かすだけのうでの力がないんです。飛びたいなら、飛行機にでも乗らなくちゃ」
「いやですよ、あんな物! 羽もないのに、でっかい金属のかたまりが空に浮くなんて、何か、まちがっていますよ。私はエレガントな鳥のつばさがほしいんです。すぐに作ってちょうだい」
お母さんには、めっぽう、弱いコスモ博士。考えた末に、軽くてじょうぶなプラスチックで、つばさを作ってあげました。白鳥のように、白い、美しいつばさです。
「まあ、うれしい! おまえさんは、本当に、孝行息子ですね。で、どうやって使うの?」
「ええと、ここのかたひもに、こう、うでを通して・・・」
「リュックを背負うみたいに?」
「そうそう」
ハツさんが、言われた通り、内側のかたひもに両うでを通すと、つばさはハツさんの背中に、ひゅっと、すいつき、それから、かたから手先にかけて、ピタピタピタッと、くっついていきます。
「うはあ! 本物の羽がはえたみたい!」
さっそく、パタパタ、はばたいてみると、羽は、ハツさんの動きに合わせて、自由にしなります。でも、足の方は、地面から、1ミリも浮きません。
「ちっとも飛べないじゃないの!」
ハツさんは、ふくれっ面になりました。