3 カニつり
かれこれ、1時間以上、およいだでしょうか。
「おねえちゃん、寒い。ぼく、もう、上がる」
新一のくちびるはブドウ色でした。
「うん、あたしも」
美里もすっかり冷えていました。
「ああ、腹がへった! みーちゃん、しんちゃん、何か食いに行こう」
大介も浜に上がってきました。
美里たちは洗い場の水道で砂を洗い落としてから、浜茶屋に入りました。
浩一はとうにもどっていて、友人たちと縁台にすわり、こそこそ、わらいながら、ケータイをいじっています。
3人に気づくと、浩一はビーチタオルを投げてよこしました。
「何でも注文しな」
浜茶屋のよしずにはジュース、かき氷、ところてんなどのはり紙がありましたが、3人はそろって、「ラーメン!」
あつあつのラーメンで、やっと、体が暖まると、大介は「カニつりに行こう」と言い出しました。
「浩一、バケツ、くれ。あと、するめな」
「サンダル、はいて行けよ。海に落ちるんじゃねえぞ」
「わかってる」
大介は浩一の手からバケツをひったくると、美里たちをうながして、浜茶屋を出ました。