ピイの飛んだ空(2/8)

文・七ツ樹七香  

ピイが秋斗(あきと)の家に来たのは7月の終わり方のことで、ちょうど夏休みに入った日のことだった。
「お前、文鳥育てたことあっただろう」
「そんな赤むけたヒナ、だんちがいの難易度(なんいど)に決まってるでしょう! それに、私(わたし)そういうことするの反対」
夕方、秋斗が友だちと遊んでから帰宅(きたく)すると、お母さんがうで組みをしてお父さんをはばんでいた。
めずらしく早く帰ってきた秋斗のお父さんは、手元にケーキの箱をかかえている。半分ふたが開けてあるのを不思議に思いながら、すばらしいおやつを期待してそっとのぞきこんだ秋斗は、気味の悪いものを見たかのように飛びのいた。

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県出身。「ピイのとんだ空」で第30回日本動物児童文学賞優秀賞。 「ラスト・オテモヤン」で第41回熊本県民文芸賞小説部門一席を受賞。熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、第1回西の正倉院みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞大賞、第16回深大寺恋物語 調布市長賞など。 共著に『謎解きホームルーム2』『恐怖文庫』『感動文庫』(いずれも新星出版社)動物が好き。犬と小鳥と暮らしている。