すり餌(え)をピイ用に作るのはかんたんだ。お湯とすり鉢を用意すればいい。ピイはこのエサを気に入ったようで、そのうがパンパンになるまで食べては、すやすやとねむりについた。
それが数日続けば秋斗(あきと)の手つきも慣れたものだ。
子スズメの真っ黒な瞳(ひとみ)はぱっちりと開くようになり、かぼそかった声も耳にひびくほどに力強くなった。
ピイの赤くハゲていた地はだにはたくさんの黒い管が生え、それがわれると見慣れた茶色い羽根が顔を出す。たよりないヒナは日を追うごとにふわふわとスズメらしくなってきた。
そんなピイに満足しながら、秋斗はなやんでいた。
またたく間に育っていくピイに、まだやってあげていないことがあったのだ。
今日の朝にはと思っていたができなかった。もう先送りにするわけにはいかない。
夏休みの宿題を午前中やったら・・・、今日こそは「アレ」をやらないといけない。