さて、さて、さて、またしばらく行くと、見たことのある物が見えてきました。
神様をまつっている、小さなほこらです。
村人が作ったおそなえものが、たくさんほこらの前においてあります。
やっと、神様のほこらへと、たどり着いたのです。
さらに、近づいてみると、そこで、パクパクとおいしそうにおにぎりを食べている人がいました。
よく見ると、白くてきれいな服を着ている神様でした。
おにぎり君が、ゴロン、ゴロンと、近づいていくと神様が気がついて、おおあわてで、かくれようとしました。
なぜなら、神様は人間には見つかってはいけないことになっているからです。
「神様、神様。ぼくは人間ではありません。安心してくださいな」
おにぎり君はいそいで言いました。
そうしないと、かくれてしまいそうだったのです。
「ん? おまえは、だれじゃ?」
おにぎり君ははりきって言いました。
「ぼくは、おにぎりです。神様に食べられる役目のものです。ですが、ぼくだけがどういうわけか、風にとばされて、きのう、おそなえできなかったのです」
「お、おにぎりじゃと!?」
神様はジッとおにぎり君をみて、それから、プップップッと、笑い出しました。
「こんな黒くて、丸いおにぎりを見たのは、はじめてじゃ!! ハハハ・・・」
おにぎり君は、はて ?と、首をかしげ、よくよく自分の体を見てみました。
すると、どうでしょう。
あんなに白かった体が今では、まっ黒になって、土や、砂や、虫のありんこまで、自分の体にくっつき、すみついています。
しかも、三角だった形は、まあるく、まあるく、小さな山のようになり、ほこらよりも大きくなっていたのです。