ぼくはゆきだるま 3/4

文と絵・かとうゆうこ

それから、通る人はみんな、ぼくを見るとしんぱいそうな顔になってきた。
ほんとうは、ぼくもしんぱいなんだ。
〈あきらさん、早くかえってこないかな〉

とうとう、うでがだらんとさがって、かさがじめんにおちてしまった。
〈たいへんだ! かさはちゃんとあきらさんにわたさなきゃ。ぼくは、るすばんの ゆきだるまなんだから〉

そのとき、学校がえりの小学生が通りかかった。
朝、ぼくのほっぺをさわったあの男の子だ。
「このあたりで、まだとけてないゆきだるまはきみだけだよ。すこいなあ」
そういって、かさをおなかのよこにたてかけてくれた。

〈よかった! 〉
けれど、ぼくもだんだんとけて、せがひくくなってきた。
体も顔もかたむいて空しか見えなくなった。

「ああ。あきらさん、早くかえってきて! 」
お日さまは、西の空にしずみかけて、通る人はみんないそぎ足でかえっていく。
もう、だれもぼくを見なくなった。
とうとう、ぼくはかさとおなじ高さの、ただのゆきのかたまりになった。

かとうゆうこ について

愛知県在住。子供の頃からお話を作るのが好きで、童話作家になりたいと思っていました。 人生いろいろあり、いまだに夢を追いかけていますが、子供たちに、「生きてるってけっこうおもしろいよ」ということを伝えたいと思っています。 ここ数年は、名古屋の なかがわ創作えほん教室に入って、短いお話を書いています。 マッキーの絵本「123456789のベン」の翻訳をしてアリス館から出版したことがあります。 ENEOS童話賞のはじめの頃入選したことがあります。どちらも大昔のことです。