エルとくるみとソラ(2/7)

文・七ツ樹七香  

けれどエルは、くるみたちが帰る前に息を引き取った。
家に帰ってすぐにお母さんが話してくれた。
『エルは、お空に旅立ったんだよ』
くるみの頭から、その言葉がはなれない。大泣きするくるみを、その日ずっとお父さんとお母さんはなぐさめてくれた。

でもその夜、ふたりだって泣いていたのをくるみは知っている。くるみが出かけたがったばっかりに、最後までいっしょにいることができなかった。
くるみのせいだ。

「エルッ!」
自分のさけびで苦しいゆめから覚めたくるみは、目を強くこすった。
「ほら、いやなんだもん。いつか、いなくなっちゃうんだから」
ぽつり、とくるみはつぶやいた。

七ツ樹七香 について

(ななつきななか)熊本県在住 会社員勤務を経てフリーライター・(アマチュア)作家 新紀元社WEBサイト パンタポルタで記事・コラムを執筆するかたわら、WEBで小説を発表。公募活動にも力を入れる。『ピイのとんだ空』で日本動物児童文学賞 優秀賞。熊本県民文芸賞では小説部門を二年連続受賞。本賞で2019年に第1席を獲得した『ラスト・オテモヤン』は熊本日日新聞に全10回連載され好評を博す。本作は作品集収録とともに朗読CD化、熊本県内数カ所の図書館で視聴可能。 ほか、西の正倉院 みさと文学賞 佳作、集英社WEBマガジンコバルト がんばるorがんばらない女性小説賞 大賞など。 児童文学から一般文芸まではば広く手がけている。動物が大好き。犬と小鳥と暮らしている。著書を持つのが夢。