ふしぎなぴりーこぱん(1/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

「ていうか、わたしこれから学校に行かなきゃいけないし!」
いきおいで、ふつうのことまでツッコミっぽく言ってしまった。
「がっこうに、いくじかん?」
ぴりーこぱんがいたずらっぽくわらった。

「あんこちゃん、これからがっこういくの? いまなんじ?」
「えっと・・・」
あんこちゃんは時計を見上げた。そしてまたツッコミをさくれつさせた。

「この時計、どうなってんのー⁉」
ぴりーこぱんが出てきた時計は、ぴりーこぱんと同じくらいへんてこになっていた。

ならんでいる数字のじゅんばんがバラバラだし、6が二つある。9がさか立ちしてるのだ。
はりなんて、ぜんぶがすごいいきおいで回ってるし、時々すすむむきをかえて、はんたいむきに回ってる。

「ぴりーこぱんがでてきたら、なんじになるのかわからない」
歌うように、ぴりーこぱんが言った。
「とけいさんだってね、いっつもおなじにうごいてて、たまにはあそんでいたいんだ」

だからって、いくらなんでもはしゃぎすぎじゃないかしら。
「後で自分のばしょ、わからなくならない?」
「だいじょぶ、だいじょぶ、とけいさん」

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。