ふしぎなぴりーこぱん(1/7)

文と絵・エンプティ・オーブン

「ハンバーガーじゃなくて、ほんとうはヒトだったの?」
あんこちゃんが前に読んだ本に、カエルがじつは王子さまだったっていうお話があった。
ひょっとしてこの子もまほうでハンバーガーにかえられていたのかも!
そう思ってあんこちゃんがきくと、
「ちがうよ。ぴりーこぱんは、パンだよ!」

なーんだ、ちがうんだ。ちょっとガッカリ。
かっこいい王子さまじゃなかったし、まあいいか・・・。
どうやら『ぴりーこぱん』っていうのはこの子の名前だったみたい。

「だけど、ぴりーこぱんだから、なんにでもなれるんだよ!」
そう言って、ぴりーこぱんはピーナッツにへんしんした。
やっぱり、くりくりおめめがついている。

「でも、このままじゃうごけないから」
と言って、ぴりーこぱんはまた子どものすがたになった。
あれ? さっきハンバーガーのすがたでジャンプしてたけど。
と思ったけど、あんこちゃんにはそれよりも、ききたいことがあった。
「ねえぴりーこぱん、どうして時計から出てきたの?」
ぴりーこぱんがとつぜんあらわれた、そのわけを知りたかった。

ぴりーこぱんは元気に答えた。
「あんこちゃんと、あそびたかったから!」
ずこーっ。あんこちゃんは、ずっこけた。
「きいてんのはそゆことじゃなーいっ!」
あんこちゃんはツッコミを入れた。
あんこちゃんが読んでいるマンガに、ツッコミでたたかうキャラクターがいて、とっても強い。
だから、あんこちゃんもツッコミを入れると、ちょっと強くなった気がする。

エンプティ・オーブン について

1985年埼玉県生まれ。子供のころから本が好きで、自分でも絵本を作ったり、マンガを描いていました。二児の母になってからは、わが子に読み聞かせるための絵本を作ってきました。小学校の読み聞かせボランティアにも参加しています。娘がが小学生になるのを機に、童話を書き始めました。たくさんの人に楽しんでもらえるお話を書きたいです。