ぼくたちは夏の道で(11/12)

文・朝日千稀   絵・木ナコネコ

11 別れ

山野辺さんの体から魂が抜けだしたのは、パピを捜したい! という強い想いがあったから。
では、パピの場合は、どうなのだろう?
最期に(ぜんぜん最期じゃなかったけどね)山野辺さんに会いたい! というパピの強い想いが、山野辺さんをあの場所に導いたのではないだろうか。
体は黒岩さんに運ばれながらも、パピの魂は、山野辺さんが来るのを待っていた。
病院で手当てをされ、家で意識を取り戻し、回復した体に、魂は帰っていった。とか?
これは、あくまで、ぼくの想像だけど。

けど。でも。しかし。
いろいろな勘違いや思い違いがあったとしても、山野辺さんとパピ、お互いの魂が引き合ったのは、間違いない。
ぼくは、そう、思う。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。