ソラがくるみの家にきて三日がたった。
ソラも少しはくるみの家になれてきたようだった。でもくるみは、まだソラと仲良くしてはいない。いつもツンとすましている。犬のことはキライなのだから、当然だ。
それなのに、その日くるみはゆめを見た。
犬がいるゆめだ。ゆめの中のくるみは、満面の笑みだった。
『エル〜! 大好きだよっ、だあいすきっ』
ゴールデンレトリーバーの大きなせなかに両うでで抱きついて、くるみはやわらかい首の毛に鼻をうずめる。シャンプーしたばかりのエルはシャボンのいいにおいがした。じゃれ合うくるみとエルを見て、お母さんが声をかける。
『くるみはエルと仲良しねえ』
『うん、エルはね。わたしがうれしいのも、かなしいのもわかるんだよ。もしかしたら、お母さんよりわかるかも!』
『え〜! そうなの。くやしいなぁ。エルはすごいねえ』
そうすると、エルはほこらしそうに胸をはる。くるみにもお母さんにも「あなたの味方だよ」と、いつもエルのしっぽはごきげんだ。
『エルは、くるみが赤ちゃんの時からいつもそばにいたし、くるみが泣いたらすぐに知らせに来てくれてたんだよ。お姉ちゃんのつもりなんじゃない?』
『えー、もうわたしがお姉ちゃんだよ。ねえ、エル?』
きらきらした黒い目をのぞきこむと、エルはまるで笑っているかのように目を細める。