猫アンテナ狂想曲(9/15)

文・朝日千稀   絵・木ナコ

このままでは、話が先に進まない。
「あの、黒岩さん、中園さんの件、お願いします」
黒岩さんに話を促す。
「中園さんは、んっ、ところで、君は?」
問われてオレは、
「朝日輝といいます。高2です。実は、チャッピーを捜しに来たのはオレなんです。いろいろあって、今日から、猿神さんの助手になりました」
今までの経緯をかいつまむ。

「そうか。いろいろね。よく、いや、よーく、わかる。僕は黒岩金太。僕もいろいろあって、ずいぶん前から、猿神先輩には手下のようにこき使われてます」
「こきつかわれていますじゃねーよ! それより、おまえ、出張中じゃなかったのかよ。帰るのは3日後と言ったじゃないか!」
「予定が変更になったんです。ですから、同僚に頼んで情報収集したんです。猿神先輩の頼みを、後回しにはできないですから」
「ワシが、せっかく、猶予やったのに」
ブツブツブツブツ言いまくる、往生際の悪い猿神さんを、サラリとかわし、黒岩さんが話し始める。

朝日千稀 について

(あさひ かづき)福井県福井市在住。3猫(にゃん)と一緒なら、いつまでもグータラしていられる

木ナコネコ について

(きなこねこ)福井生まれ、大阪住まい。福井訛りの謎の関西弁が特徴。猫と珈琲と旅が好き。