言葉はなくても通い合う祖母と僕の思い出

◆父母から子へ、祖父母から孫へ

また私はこの絵本を読み、昨年亡くなった父方の祖母のことを思い出しました。
夏休みになり祖父母に家に行くと、いつも食べ切れないほどのたくさんの食べ物を用意してくれていました。祖母も戦争を経験し貧しさに苦労した経験があったので、お腹いっぱい食べさせたいという愛情の表れでもあったのだと思います。

父母から子へ、祖父母から孫へと、私たちは先祖代々大切にされてきたことを無意識に継承しています。その中でも忘れてはならないこと、祖先が残してくれた生きる知恵を大切に守っていくことは、今を生きる私たちの責務でもあるように思います。

そして、言葉以上に大切なものがあること、愛は目に見えない言葉を超えたところにあるということも伝えてくれているように感じました。
とても洗練された芸術性の高い作品です。このような作品に触れることで、子どもたちのより豊かな感性を育てていってほしいと願います。

 

えもり なな について

江森 奈々(えもり なな)1985年神奈川県生まれ。千葉県在住。幼少期より母から良質な絵本を与えられて育つ。幼い頃から絵を描くことが得意で、小学生の頃は漫画を描く。中学生になると美術部に所属し油絵を始める。灰谷健次郎の「兎の目」に感銘を受け、10代は日本や世界の児童文学を読みふける。現在、保育士をしながら絵本や童話、紙芝居の創作、読み聞かせを行っている。画家・イラストレーター、モデルとしても活躍中。絵本は1500冊以上読破。2023年be京都にて初のプチ個展を開催。パレットクラブスクール19期絵本コース卒業。トムズボックス2019冬季ワークショップ修了。 『絵本作家になるには、絵が描けないと無理ですか』(CATパブリッシング)の挿絵を一部担当。 ●YouTube:【なないろ本屋/7's BOOKSHELF】 ●Instagram:【nana_museum】